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「知らん」のマスタリング―クールな熱情

【OZONE 7 AdvancedのMaximizer】
Bandcampにて無料配信中のプチ・ソング「知らん」は、フリーダウンロード可となっています。PCにてダウンロードできますので、ご遠慮なく試してみて下さい。

さて、前回書いたミキシング作業以降の、プリ・マスタリングについて今回は解説したいと思います。今回のマスタリング作業は、ミキシングを終えた段階のファイル=24bit/96kHzをプリ・マスタリングでiZotopeの「OZONE 7 Advanced」を使用し、16bit/96kHzに変換。そして最終的な16bit/44.1kHzのマスター・ファイルの書き出しはSteinbergの「WaveLab Pro 9」を使っておこないました。このようにコンバートは段階的におこないます。

【Vintage Tapeモジュールでテープ特性を付加】
プリ・マスタリングでの「OZONE 7 Advanced」ではまず、ディザー・セクションの設定(16bitに設定、ノイズ・シェイピングをかます)を済ませた後、最後段のモジュールMaximizerのIRC IVを“Modern”に設定して、一定量の音圧を上げるところから始めました。画像では、IRC IVが“Transient”になっているのが分かるでしょうか。実はこれが今回のプリ・マスタリングの秘策なのですが、まず簡単に申し上げると、“Modern”の設定の状態ですべてのモジュールの調整をおこなった後、最後の仕上げとして、設定を“Transient”に換えるのです。画像はその時の状態を示しています。このことは、後で詳しく説明します。

【Equalizerモジュールでわずかに低域をブースト】
MaximizerをIRC IVの“Modern”に設定して音圧を調整した後、最前段のVintage Tapeモジュールで全体のサウンドのアナログ・テープらしい特性を付加しました。ミキシングの段階で既に、ある程度の同じ効果を上げているので、ここではあくまで微量のドライヴ感を加える程度です。しかしこの微量の有る無しが、全体のサウンドのイメージを決定づけます。
次にEqualizerのモジュールで、全体のサウンドを補完します。Mid/Sideの切り替えを駆使し、Midの低域を少しブーストし、Sideの高域を少し明るくするということをしました。これにより、全体の音像がよりスムースに、くっきりとしました。
Dynamicsのモジュールでは、そのマルチ・バンドの調整能力を活かし、Midにおける中低域と中高域にほんの僅か壁を作り、逆にSideをいじらないようにして相対的に左右が浮き立つ感じにして、立体的な構造にしました。この曲はステレオに広がっているアコギのフレーズが重要な要素なので、それが浮き立つ感じになります。

【Dynamicsモジュール。Midに壁を作る】
先に説明した、MaximizerのIRC IVの“Modern”の状態で、このような調整を施したわけですが、これを“Transient”の状態でおこなおうとすると、アタックを強調するその特性から、調整は聴感上難易度が高くなり、音像を掴みきれません。ヘタをすると間違った調整をする可能性があります。なので、各モジュールの調整の際は、聴感上分かり易い“Modern”でおこない、すべての調整が済んだら、“Transient”に切り替えるということで、この「知らん」のサウンドは構築されています。

こうして、一旦は充分かつ巧妙なブリックウォールを作っておきつつ、最終的にはトランジェントのアタックを活かしたマキシマイザーの設定に切り替え、歯切れのいいサウンドを引き出す。このやり方は今後も踏襲したいと思っています。ギターの輝き、ヴォーカルのパワー感、そしてフリューゲル・ホルンの詫び寂がフリーズ・ドライされたマスターとなっているかと思います。

それでは存分に、5分26秒のプチ・ソング「知らん」をお楽しみ下さい。

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